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「裏金根絶」自民生煮え/党内改革論議 曲折も  


「裏金根絶」自民生煮え/党内改革論議 曲折も   自民党のアンケートで不記載があったと回答した議員ら
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 自民党が派閥の政治資金パーティー裏金事件を受け、政治資金規正法改正の検討に着手した。裏金の根絶を目指し「今国会で法改正を実現する」と宣言した岸田文雄首相の意を酌み、政治資金の透明性確保に前向きな姿勢をアピール。一方で、規制や罰則の強化は生煮えだ。与野党協議を見据えた自民内の改革論議は曲折が予想される。 (1面に関連)

せかす公明
 「きょうから議論をスタートさせます」
 13日、官邸。首相は昼食を共にした公明党の山口那津男代表に伝えた。自民党政治刷新本部で改革の中間報告をまとめてから約3週間。
 改革を急ぎたい山口氏は、遅いと言わんばかりに「早く自民党の考え方を提示できるよう検討を加速してほしい」とせかした。
 その検討を担う自民の作業部会が13日に開いた初会合。規正法改正など制度改革を扱う鈴木馨祐座長は冒頭「運用面での改革を先行して進める」と言及したが、法改正に関し結論を得る時期は明示しなかった。
 運用面の改革は、「政策集団」の収支報告書に対する外部監査義務付けとデジタル化、パーティー券代金の銀行振り込み徹底などだ。会計責任者が逮捕、起訴された場合に議員も処分できる党則改正も視野に入れ、3月17日の党大会で了承を取り付ける段取りを描く。

のらりくらり
 ただ法改正にどう対応するつもりなのか、見えない。
 公明党や共産党は、パーティー券購入者の公開基準の引き下げを提唱した。これに自民の茂木敏充幹事長は1月のNHK番組で「必要だと思っている」と語った。
 だが中間報告では触れられず、関係者は「作業部会でも取り上げない可能性が高い」とささやく。
 表向き「他党の意見を尊重したい」と言うものの、早々に防衛ラインを引いておきたい思惑が透ける。
 自民は13日、裏金事件を受け行った全所属国会議員アンケート結果も公表した。2018~22年の政治資金収支報告書への不記載総額は約5億8千万円といった内容に対し、立憲民主党の岡田克也幹事長は「極めて不十分な調査だ」と酷評。真相解明へ政治倫理審査会の開催を求めた。
 連立を組む公明の要請や野党の批判に向き合い、自民は本気で法改正に取り組むのか。
 初会合後、記者団から論点を繰り返し問われた鈴木氏は「何が起きたのか究明している段階だ。それをまず待つ」と、のらりくらりとかわした。次回会合開催のめどすら明らかにしていない。