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沖縄とパレスチナに類似点 SNS時代に対処する力とは 毎日新聞編集委員の大治朋子さん講演<琉球フォーラム>


沖縄とパレスチナに類似点 SNS時代に対処する力とは 毎日新聞編集委員の大治朋子さん講演<琉球フォーラム> 講師の大治朋子氏(毎日新聞編集委員)=14日、那覇市のザ・ナハテラス
この記事を書いた人 Avatar photo 小波津 智也

 会員制の講演会組織「琉球フォーラム」(主宰・普久原均琉球新報社長)の2月例会が14日、那覇市のザ・ナハテラスで開かれた。毎日新聞編集委員の大治朋子氏が登壇し、「占領と暴力とトラウマ―沖縄とパレスチナの視点から」をテーマに講演した。

 大治氏は第2次世界大戦後に領土を分割され、入植で住む場所を奪われ続けるパレスチナと、日本復帰後も米軍基地が残り、固定化や強化が進む沖縄に類似点があると主張する。

大治朋子氏の話に耳を傾ける会員ら=14日、那覇市のザ・ナハテラス

 パレスチナではテロ対策、沖縄では安全保障と、それぞれ治安を大義にした抑止力論で支配されていると指摘。イスラム組織ハマスによる昨年10月の大規模攻撃を例に「抑止力は働いていない」とし、過度な弾圧が憎悪をかき立てていると抑止力を疑問視した。

 心理学的な見地からも類似点にアプローチし、両者とも日常の脅威やストレスにさらされて問題解決について考える余裕を失っているとの見方を示した。

 現在はSNSによってさまざまな情報があふれている状況にも触れ、ナラティブ(物語、語り)の重要性を強調する。SNS上に拡散する偽情報などに影響され、国粋主義や全体主義に陥る危険性を指摘。作文や読書、聞き書きなどを提唱し、想像力や発想力を高めることでナラティブに対処する必要性を言及した。

 (小波津智也)