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刑事手続きデジタル化 法制審答申 離婚後共同親権も


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 法制審議会(会長・高田裕成中央大大学院教授)は15日、電子逮捕状の導入など刑事手続きデジタル化の要綱を、小泉龍司法相に答申した。離婚後は父母どちらかの単独親権とする民法を改め、共同親権を可能にする制度見直しも答申。政府は今国会で、それぞれ関連法案の提出を目指す。
 政府は共同親権を導入する民法などの改正案の国会審議を先行させる考えだが、与党内には提出に慎重な意見もある。調整が難航すれば、デジタル化を盛り込んだ刑事訴訟法などの改正案提出は、次期国会以降にずれ込む可能性がある。
 デジタル化は、紙の使用や対面でのやりとりが原則の刑事手続きを一変させる内容。捜査機関の逮捕や捜索に必要な令状を電子化し、裁判所に出向かなくてもオンラインで迅速に発付できるようになる。
 公判では、病気や障害で出廷が著しく困難な被告は、映像・音声を結ぶシステムで遠隔参加することを認める。
 インターネット事業者などにデータを提出させる罰則付きの「電磁的記録提供命令」の創設も盛り込んだ。捜査の効率化につながる一方で、容疑者や被告の権利保障が課題となる。
 離婚後共同親権は、父母の協議で単独・共同のどちらを選ぶか決め、折り合えなければ家裁が判断。その際、虐待やドメスティックバイオレンス(DV)の疑いがあれば家裁は単独親権と定める。
 ただ、被害者側は「密室の被害は証明が困難で、見逃される危険がある」と強く反発している。
 法制審は他に、老朽化したマンションの建て替えを促進する区分所有法制の見直しも答申。決議で「所有者の5分の4の合意」を求める現行要件を、耐震性不足などの問題があれば「4分の3」に引き下げる。