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運営実態「懸念」3割/重度障がい者GH 共同調査に自治体


運営実態「懸念」3割/重度障がい者GH 共同調査に自治体 重度障害者向けグループホームに関する自治体の認識
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 重度障害者向けグループホーム(GH)を各地で運営する大手の会社「恵」(東京)で報酬の不正受給疑いなどが判明したことを受け、共同通信が実施した自治体調査の結果、約3割が恵以外の重度者向けGHについても「問題がある」と運営実態に懸念を持っていることが17日、分かった。20%の施設で虐待疑いの通報があった。
 福祉の経験がない株式会社などの参入でGHの「ハコ」が増える一方、重度者を支援できるスキルのある人材が不足していることが背景にある。国は障害者の暮らしの場を地域社会の中にある小規模なGHに移す政策を進めているが、量的拡大だけでなく質の確保が求められそうだ。
 重度者向けGHは全国に約960カ所あり、約1万4千人が暮らす。調査は入居者が100人以上いる31都道府県を抽出し、都県庁所在地を対象に昨年12月に実施。69市区全てから回答を得た。
 実際に重度者GHがあるのは59市。恵以外について支援の質や入居者の権利擁護などに関する認識を尋ねると、愛知県一宮市や兵庫県姫路市など19市(32%)が「問題があると思う」(「どちらかといえば」を含む)と回答した。問題があると思う内容としては「職員のスキルや支援の質が伴っていない」が最も多かった。
 那覇市は「判断できない」と回答した。

▽調査の方法=厚生労働省の統計に基づき、重度者向けグループホーム(GH)の入居者が昨年7月時点で100人以上いる31都道府県を抽出した。その政令指定都市、中核市、都県庁所在地(東京は新宿区)計69市区に昨年12月、調査票を送付。GHの運営実態に関する認識や虐待通報の有無などを尋ねた。昨年11月1日現在、69市区のうち59市に370カ所の重度者向けGHがあった。