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党主導、若手議員教育へ/裏金事件 自民、派閥に代わり/政策講義を定例開催


党主導、若手議員教育へ/裏金事件 自民、派閥に代わり/政策講義を定例開催 自民党の新たな中堅・若手議員教育のポイント
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 自民党は派閥の政治資金パーティー裏金事件を受け、派閥に代わり党本部として中堅・若手議員教育を来月開始する方針を固めた。人材養成の党内組織「中央政治大学院」を強化し、政策講義を定例開催する。関係者が18日明らかにした。全6派閥のうち4派が解散方針を決めており、穴埋めを狙う。一方麻生派と茂木派は政策集団として集まりを維持する意向で、派閥解消を前提とする議員教育活動を党内に浸透させるのが課題となる。
 派閥は従来「金と人事」を軸に結束する半面、幹部やベテランが政治経験を後輩に伝授する役割もあったと言われる。解消が進めば「党が弱体化する」(重鎮)と懸念されていた。岸田文雄首相の指示を受けて党の機能・ガバナンス(組織統治)強化に向けて作業部会が議論を始めたが、中堅若手教育を先行させる。
 新たな政策講義は「国家観、歴史観を学び、政治家としての土台をつくる」と目標を掲げた。選挙活動のノウハウも伝達する。派閥が毎週木曜に集まったように定例化し、6月までの今国会会期中に7回開催。衆院当選4回、参院当選2回以下の約200人に呼びかけるほか、落選中の元職や新人の選挙区支部長の参加を視野に入れる。
 中央政治大学院は結党2年後の1957年に設置され、党員研修や新人候補発掘を担ってきた。機能拡充は、前総務会長で首相に近い遠藤利明学院長と、茂木派を先月退会した小渕優子選対委員長が発案した。
 ただ「9月の党総裁選をにらんだ新たなグループづくりか」(茂木派若手)といぶかる声もある。麻生派、茂木派だけでなく、解散する派閥の議員からもこれまでの人脈を頼む声が聞かれ、講義の出席率は見通せない。
 3月4日の初回は、近代史に造詣が深い斎藤健経済産業相が「戦前史」をテーマに講師を務める。