【東京】うるま市石川のゴルフ場跡地に陸上自衛隊訓練場を整備する計画を巡り、木原稔防衛相は11日夕、臨時会見を開き、土地取得を含めた整備を「取りやめる」と述べ、計画断念を表明した。「住民生活と調和しながら訓練の必要性を十分に満たすことは不可能と判断した」と説明した。県内に駐屯する陸自第15旅団の師団への格上げ計画は堅持し、本島内で別の訓練場用地を探す見通し。
木原氏は「地元の状況についての把握・分析・検討が不十分だったと評価している」と説明。「防衛省としてうるま市をはじめ地元の皆さまにおわびを申し上げる」と謝罪した。判断に至った経緯として「さまざまな地元の意見を聴取した」としつつ「特に本日、中村うるま市長と自民党の島袋県連幹事長からの重ねての要請を受けた結果」と強調した。
一方、防衛省担当者は、地元の反対を受けて取りやめたのではなく「幅広い層からの厳しい意見を踏まえて防衛相が住民生活と調和する形で訓練所要を満たすことは十分にできないと判断した」と強調した。
予定地だったゴルフ場所有者は10日までに防衛省に売却しない意向を固め、周囲に伝えていた。だが木原氏は所有者の意向は「取りやめる材料になったとは思わない」と否定した。
木原氏は第15旅団の師団化計画について「沖縄のために欠かせない」とした上で「訓練場の不足は補わなければならない。今般の整備計画は取りやめるものの、陸自の追加的な訓練の必要性を満たすための取り組みは必要だ」と強調した。
代替策について幅広い視点から再検討するよう指示したと明かした。「周囲の生活環境を含めた地元の状況をしっかりときめ細かく把握・分析した上で作業を進めていくよう指示した」と強調。2024年度予算に計上した土地取得費については「しっかりと活用させていただきたい」として維持する考えを示した。
うるま市石川での訓練場計画は昨年12月に明らかになり、住宅や教育施設との近さから地元から反対の声が上がった。
3月には保革を超えて計画断念を求める市民集会が開かれ、1200人以上が集まるなど広がりを見せていた。
(明真南斗)