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玉城デニー知事、自治法の改正案に「地域の取り組み、阻害ないように」 国に抑制的な運用求める 沖縄


玉城デニー知事、自治法の改正案に「地域の取り組み、阻害ないように」 国に抑制的な運用求める 沖縄 地方自治法改正案について語る玉城デニー知事=12日、県庁
この記事を書いた人 Avatar photo 沖田 有吾

 災害時などに地方自治体に対して国が指示権を行使できる「補充的指示権」を創設するなどの地方自治法の改正案について、政府は今国会での成立を目指している。玉城デニー知事は12日の定例記者会見で「地域の実情を踏まえた(自治体の)独自の取り組みを阻害することがないよう、憲法で保護された地方自治の本旨や、国と地方の対等な関係が損なわれることがないよう、運用の明確化などが講じられるべきだ」として、抑制的な運用を求めた。

 政府が3月1日に閣議決定した改正案は、災害や未知の感染症など「国民の生命などを保護するのに特に必要な場合」に、個別の法律に規定がなくても必要な対策の実施を国が自治体に指示できるようにする内容。指示された自治体は従う法的義務を負う。

 国と自治体の意見が異なり対応が混乱した新型コロナ禍を教訓にしたとされるが、地方自治体が自らの責任で独自に執り行う「自治事務」への不当な介入だと批判が高まっている。「対等・協力」と定められた国と地方の関係を変え、地方分権を後退させるとして日弁連が反対の意見書を公表するなどしている。

 玉城知事は、自治体の事務を執行する際の判断は住民に一番近い責任者が行うことが重要であるとした。国の補充的な指示については「想定外の事態に万全を期すという観点から、必要性については認める」としながら、コロナ禍で沖縄県の独自策の必要性を訴え実行した経験を踏まえ、自治体の取り組みを国が阻害しないよう求めた。

 改正案に対しては、個別法ではなく一般法の地方自治法を改正することで国の指示権を全般的に認めてしまうことへの批判もある。玉城知事は、個別法で対応できることであれば個別に対応すべきだと指摘した。「国と地方の役割が明確になっていれば、事前協議でも十分(対応が)可能だ。地方自治体と事前に入念な協議の場を設け、そこでしっかりと情報共有しながら、お互いの責任、役割をどう分担するかも明確にしていく必要がある」と話した。

 (沖田有吾)