米軍が与那国空港(与那国町)と新石垣空港(石垣市)の使用を県に届け出たことが1日、分かった。県空港課によると、米軍は小型機で両空港を17日に使用したいと申請した。
使用目的は訓練ではなく「人員輸送」としている。複数の政府関係者によるとラーム・エマニュエル駐日米大使が近く視察を予定しており、その一環とみられる。
米軍は民間の空港や港湾の利用拡大を狙っている。2023年に掃海艦、今年3月にはミサイル駆逐艦が石垣港を使用した。駐日米大使による異例の先島諸島訪問の背景には、部隊派遣や訓練など、米軍の活動への理解を得る狙いがあるとみられる。
与那国空港の使用が実現すれば、記録が残る1997年以降で初。県は、米軍に対して緊急時以外の民間空港の使用自粛を求めており、1日現在、届け出を受理していない。
県空港課によると使用届けは4月24日に出された。
米軍が使用を申請した2空港のうち、新石垣空港は米軍側が使用を希望したスポットに空きがなく、現段階では使用が厳しい状況だ。
一方、関係者によるとエマニュエル氏は陸上自衛隊駐屯地の視察や、首長との面会も調整している。
日本政府は4月、有事の際に自衛隊や海上保安庁による利用円滑化を前提に、特定の空港や港湾を優先的に整備する「特定利用空港・港湾」に沖縄県内の石垣港、那覇空港を含む16カ所を選定。与那国空港、新石垣空港は機能強化の候補となっていた。
(明真南斗、知念征尚、與那原采恵)