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石垣港と那覇空港「特定利用」に決定 全国16カ所、整備に370億円 沖縄県内ほかの候補地は見送り


石垣港と那覇空港「特定利用」に決定 全国16カ所、整備に370億円 沖縄県内ほかの候補地は見送り 那覇空港(資料)
この記事を書いた人 Avatar photo 明 真南斗

 政府は1日、有事の際の自衛隊や海上保安庁による利用円滑化を前提に、特定の空港や港湾を優先的に整備する「特定利用空港・港湾」に沖縄県内の石垣港(石垣市)と那覇空港(那覇市)を指定したと発表した。

 県内2カ所を含め、施設管理者の同意を得られた全国5空港11港湾を選定し、2024年度の整備費に約370億円を計上した。1日の関係閣僚会議で決定した。

 有事を見据えて平時から民間インフラを利用しやすい環境づくりを狙う。22年末の国家安全保障戦略に掲げた事業で「特定利用空港・港湾」の決定は初。

 県内2施設はともに継続事業が関連予算となり、石垣港は約25億円を計上。新港地区の岸壁前の水域をしゅんせつし、29年度までに10・5メートルの深さにする計画。防波堤造成も続ける。

 那覇空港の整備費のうち約72億円を今回の指定と関連付けた。ターミナル地域の機能強化や誘導路舗装の更新、浸水対策などが対象。今後、石垣港の岸壁や那覇空港の誘導路について増設を検討する。

 自衛隊や海保の円滑利用を確保するため、各施設管理者と政府が「確認事項」を取り交わした。石垣港は政府と管理者の市が、国管理の那覇空港は関係省庁間で確認した。防衛省や海保との連絡・調整体制を構築するとしている。特に緊急性と合理性が認められる場合は自衛隊や海保が「柔軟かつ迅速に施設を利用できるよう努める」ことを明記した。

 政府は県内12カ所を指定候補に挙げていた。県は慎重な姿勢を崩しておらず、県が管理に関与する施設の指定は見送られた。管理者が前向きな意向を示し、費用対効果も高いと判断した石垣港と国管理の那覇空港を選定した。

(明真南斗)