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【深掘り】知事の「負担軽減」要請さなかに…嘉手納基地に大型無人偵察機MQ4が展開へ 沖縄


【深掘り】知事の「負担軽減」要請さなかに…嘉手納基地に大型無人偵察機MQ4が展開へ 沖縄 無人偵察機MQ4トライトン=2022年、米フロリダ州(米軍サイトDVIDSより)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 米海軍が新たに無人偵察機MQ4トライトン2機を嘉手納基地に展開する方針を固めた。政府は「一時展開」で、基地負担への影響は限定的だとして関係自治体に理解を求めるが、昨年の無人機MQ9配備やF15戦闘機の退役に伴う暫定配備機の増加で基地負担が急速に強まる中「嘉手納の配備機体がどんどん増えている」(県幹部)と反発の声が上がる。

 防衛省がトライトンの嘉手納基地への展開を周辺自治体に通知した10日、玉城デニー知事は午前中から東京で関係省庁を回り嘉手納基地の負担軽減を強く訴えていた。

「非常識」

 要請では、パラシュート降下訓練の問題に限らず、嘉手納基地の負担全般を扱った。県幹部によると、外来機の飛来などで負担が増している現状を看過できないと考えたためだ。先行して配備されたMQ9も基地負担の一つと捉え、配備そのものを見直すよう求めた。

 玉城知事は配備前に地元への十分な説明がなかったこと、海上自衛隊基地での滑走路逸脱事故の原因が明らかにされていないことに言及し「安全保障環境が厳しさを増していることは認識しているが、基地負担軽減が進まないまま配備されたことは承服できない。配備計画を見直すよう求める」と訴えた。

 そのさなかの新たな無人機配備の説明。県幹部の一人は「負担軽を求めている最中に、負担が増える説明が行われた。沖縄のことをどう思っているのか」と疑問視した。

 玉城知事がトライトン一時展開を知ったのは、要請を終え、那覇に戻る機中。到着後の取材に「非常識だ」と防衛省の説明姿勢を批判した。

役割分担

 トライトンは、嘉手納基地に昨年配備されたMQ9と同様、偵察機能を持つ無人機だ。

 防衛省関係者によると、トライトンは長時間、高い高度を飛ぶことができ、「視野が広い」特徴がある。低高度でより詳しい画像をほぼリアルタイムで入手できるMQ9との「役割分担」を狙う。

 MQ9の全幅が約20メートルなのに対し、トライトンは約40メートルと大型だ。関係者は「幅は大きいが胴体のサイズは同じで、騒音レベルもそれほど変わらない。岩国基地や三沢基地にも展開したが、騒音関係の苦情はなかった」と強調した。

 一方で情報収集を担う以上、早朝や深夜に離着陸する場合も想定されるという。訓練とは異なり、短時間に離着陸を繰り返す可能性は少ないものの、周辺住民にとって基地負担の追加には変わりない。

 県は週明けにも知事に詳細を報告し対応を検討する。県幹部は、昨年10月13日に初飛来したMQ9の配備が、地元説明からわずか1週間後に行われたことを振り返り「今回も配備は5月からとなっている。いつ来てもおかしくない」と語り、対応を急ぐ構えだ。

 (知念征尚、明真南斗)