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防衛省資料に「米軍が優先的利用、平素から調整を」 民間インフラを巡り22年作成


防衛省資料に「米軍が優先的利用、平素から調整を」 民間インフラを巡り22年作成 防衛省
この記事を書いた人 Avatar photo 明 真南斗

 防衛省が2022年4月に作成した資料で、有事の際にインフラ施設を「自衛隊及び米軍が優先的に利用できるよう平素から調整を行っておくこと」が必要だと記載していたことが16日、分かった。

 参院外交防衛委員会で山添拓氏(共産)が民間インフラの利用を促進する「特定利用空港・港湾」の事業との関連性を追及した。

 政府はこの事業について平時の自衛隊や海上保安庁が対象だと説明してきているが、山添氏は「自衛隊や米軍が優先的に利用できるよう確保していく狙いでつくられた枠組みだったのではないか」とただした。

 資料は安全保障関連3文書の改定に向けた議論が加速した時期に防衛政策の課題をまとめたもの。政府は3文書に基づいて自衛隊や海保による利用円滑化を前提に「特定利用空港・港湾」に指定した施設を優先的に整備する事業を始め、4月に石垣港、那覇空港を含む16カ所を選定した。

防衛省が作成した自衛隊と米軍による民間インフラの利用に関する資料

 防衛省の加野幸司防衛政策局長は22年資料の記述について「この枠組みの議論を始めた時における問題意識の一端を示したもの」と認め「武力攻撃事態の際に米軍や自衛隊が役割を果たせるように優先的な利用を目指したい。そのために平素から調整の枠組みを整えておきたいということ」と説明した。現在進める「特定利用空港・港湾」の制度に「米軍が参加することはない」と強調した。米軍がインフラを利用すること自体は否定していない。

 政府は同じ22年資料で「日米両国による民間の空港・港湾を含む施設の実地調査」を推進する方針も示していた。防衛省は「特定利用空港・港湾」事業とは「別だ」と説明したが、調査自体は否定しなかった。

(明真南斗)