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辺野古、自衛隊、本質的な議論を 前泊博盛氏(沖国大教授・基地経済論)<識者の視点・沖縄県議選2024>(1)


辺野古、自衛隊、本質的な議論を 前泊博盛氏(沖国大教授・基地経済論)<識者の視点・沖縄県議選2024>(1) 前泊博盛氏
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 ―この4年間で、辺野古では基地工事が進み、南西諸島の自衛隊増強など軍備の動きが加速した。今選挙での基地問題の位置づけは。
 「自衛隊の配備増強や辺野古新基地などに関して沖縄が現政権にゴーサインを出すのか、それとも異議を唱えるのかが結果に示されてくる。そういった意味では、大きな争点の一つだろう。沖縄の県議選は国政にも非常に大きなインパクトを与える。県民も今選挙が沖縄だけでなく、日本全体にも影響があることを認識する必要がある」

 ―辺野古新基地建設についてどう見るか。
 「25年もたった軍事政策を是とするのか。今はドローンやミサイル防衛の時代。小型の数万円のドローンが数億円の戦車を破壊するような時代に、本当に役立つ基地なのか考える必要がある。県民も本当に基地が必要なのかを吟味し、主権者としての意識を高める必要がある」「普天間基地の早期返還のために容認とする意見もあるが、完成は十数年先の話だ。問題を先送りにするのではなく素早く解決できる策を議会は提起するべきだ。堂々巡りの議論をするのでは県民の議会への関心も薄れてしまう」

 ―南西諸島のミサイル配備など自衛隊の配備増強について、議会として今後、どのような議論が望まれるか。
 「なぜ今になって自衛隊の強化が必要になったのか、争点を明確に議論する必要がある。例えば、台湾有事が起こるというなら、なぜ起こるのか、起こった際に県はどう対処するのかといった議論が不足している。また、米軍に代わる機能を自衛隊が果たそうとしているなら、それは専守防衛を逸脱していないかをチェックする必要もある」「自衛隊は平時においては、災害救助隊という側面を持つが、有事においては戦闘部隊の役割も担っている。沖縄はリスクも背負っているということを県民も認識した上で、広い視点で誰に投じるかを選ぶことが大切だ」
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