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【記者解説】自民、16年ぶり多数派 問われる「政治不信」の払しょく 沖縄県議選


【記者解説】自民、16年ぶり多数派 問われる「政治不信」の払しょく 沖縄県議選 県議選の開票作業を行う職員ら=16日午後9時15分、那覇市民体育館
この記事を書いた人 Avatar photo 佐野 真慈

 県議選は県政野党の自民と中立の公明、維新などの勢力が過半数を奪取した。2期目の玉城デニー県政の中間評価にも位置付けられ、有権者の県政への厳しい姿勢が突き付けられた。自民が中心の勢力が県議会で多数となるのは2008年以来、16年ぶりとなった。

 県議会は県執行部が提出する議案の審議を通じ県政運営を点検、監視し、その方向性を決定する役割を担う。与党少数となることで知事が掲げる公約実現に向けた施策展開が難しい局面にさらされることになり、知事にとって大きな痛手だ。

 自民や公明は県議選での過半奪取を、知事選での県政奪取に向けた「至上命題」(自民県連幹部)に掲げて戦った。目標達成への足がかりを得た形だが、県議選の投票率は45・26%と県民の約半数が民意を託す一票を投じていないことになる。

 国政での自民党派閥の裏金問題などによる政治への不信感が影響したことは否定できず、県民の政治不信の払拭にどう取り組むかが問われる。

 米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古への新基地建設の是非も重要な争点だった。野党・自民はこれまでの県議選での「容認」から「推進」へと主張を変えた。県政与党に加えて中立の公明は「反対」としており、対立軸はさらに明確となった選挙だった。

 国は軟弱地盤改良に向けた工事に着手するなど建設を強行している。だが、「反対」を訴えた与党と公明が議席の半数を占めた。国は示された民意に真摯(しんし)に向き合う必要がある。

  (佐野真慈)