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【与党大敗】「風頼み選挙の敗北」 争点、戦略かみ合わず <衝撃の与野党逆転 ’24県議選>1(2/2)


【与党大敗】「風頼み選挙の敗北」 争点、戦略かみ合わず <衝撃の与野党逆転 ’24県議選>1(2/2) 集まった支持者に頭を下げる國仲昌二氏(左)=16日午後11時過ぎ、宮古島市平良
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 16日午後11時過ぎ、宮古島市平良の選挙事務所で立民現職の國仲昌二氏は集まった支持者を前に深々とこうべを垂れた。「革新の議席を失ってしまった。大変申し訳ない」。静まりかえった事務所内に報道カメラのシャッター音だけが響いた。

 定数2の同市区では、國仲氏と自民現職、野党新人の3氏が出馬。保守系の分裂に加え、共産、社民、社大という全ての県政与党が國仲氏を推薦した「落とすはずがない選挙区」(知事関係者)にも関わらずの落選。野党が2議席を独占した。

 宮古島市は年明けに市長選を控える。前回2021年の同市長選で國仲氏は選対本部長として、元自民県議の座喜味一幸宮古島市長の誕生に貢献した。だが、今回の県議選で座喜味氏が國仲氏の陣営に入ることはなかった。

 16日投開票の第14回県議選は県議会の与野党構成比が最大の焦点だった。玉城デニー知事の中間評価にも位置付けられており、知事も与党過半数維持に向けて、連日、県内各地を駆け回り街頭に立った。

 だが、ふたを開けてみれば野党・自民と中立の公明、維新が28議席と過半数を奪取。2008年以来、16年ぶりに自民を主とした勢力が県議会多数を握った。

 玉城知事を支えてきた「オール沖縄」勢力は、故・翁長雄志前知事の下に名護市辺野古の新基地建設反対をワンイシューに掲げた超党派の枠組みだった。だが、翁長氏の死去後、主立った企業の離脱が相次ぎ、組織は弱体化。「党利党略に縛られ、政党間調整がうまくいかずに実を取れない」と与党県議の一人は内情を吐露する。

 与党は宮古島市区と中頭郡区で現職が落選し、那覇市・南部離島区、糸満市区では後継候補が議席を守れなかった。現有24から20に減る大敗を喫した。「政党間協力を満足に築けず、争点設定に戦略と全てがばらばら。オール沖縄の風頼み選挙の敗北だ」。大敗の原因を与党県議の一人はそう吐き捨てた。

 (’24県議選取材班)