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沖縄戦「日本軍が善戦敢闘し得た」 陸自、過去資料で記載 幹部候補生学校の教育要領


沖縄戦「日本軍が善戦敢闘し得た」 陸自、過去資料で記載 幹部候補生学校の教育要領 1945年2月、米軍の上陸を前に日本軍第32軍の将校らで撮影した集合写真。2が第32軍の牛島満司令官、3が長勇参謀長(沖縄県公文書館所蔵)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【東京】陸上自衛隊幹部候補生学校は2016年度から20年度まで、沖縄戦に関する教育要領で「日本軍が長期にわたり善戦敢闘し得た」と記載していた。政府が25日、屋良朝博氏(立民)からの質問主意書を受けて閣議決定した答弁書で明らかにした。「あくまで旧日本軍の一部の戦術の態様を表現した」としつつ「すでに使用していない」と説明した。

 幹部候補生学校が沖縄戦について「善戦敢闘」と記したのは、沖縄現地教育に関する「校内待機及び現地教育中止時」の教育要領を定めた資料。陸自は「善戦敢闘」という表現について「陸自としての評価ではなく、一般書籍に記載されている記述」と説明。戦史叢書「沖縄方面陸軍作戦」などから引用したという。

 戦史叢書は防衛庁防衛研修所戦史部が「自衛隊の教育または研究の資とすることを主目的」にまとめて朝雲新聞社から刊行された。「善戦敢闘した第三十二軍の組織的戦闘」という記載がある。

 屋良氏は「善戦敢闘」という表記について質問主意書で「(日本軍)第32軍の戦い方を賛美するかのよう」などと指摘。政府は答弁書で、陸自の沖縄戦教育について、県平和祈念資料館やひめゆりの塔などを訪れ「多くの方々が犠牲となり、筆舌に尽くしがたい苦難を経験されたことを教育している」と強調した。 

(明真南斗)