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【記者解説】地元への情報伝達、実効性は不透明 米兵性的暴行続発


【記者解説】地元への情報伝達、実効性は不透明 米兵性的暴行続発 在沖米軍基地のフェンス
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 米兵の性的犯罪が県に伝達されていなかった問題で政府は対応策を示したが、実効性は不透明だ。過去に事件や事故などを受けて政府が示した「改善策」が恣意(しい)的に運用されたり、かえって状況が後退したりした事例があり、注意深く見極める必要がある。

 今回の事件を巡っては1997年に日米が合意した事件の通報手続きについて、政府が全ての重大事件を対象としていなかったことが判明した。なぜそのような運用となったのか検証が必要だ。

 今回の見直しでも県に伝達された情報が必ずしも県民にすぐ伝わるとは限らない。外務省は基本的に非公表を前提に情報を伝達するという認識だ。県が独断で公表した場合「不適切な情報の取り扱い」と判断し、情報伝達を取りやめることも示唆している。

 県警からの情報提供の運用拡大でも県民への注意喚起につなげられない可能性がある。県民への事件公表については、県への通報手続きと別で議論しなければならない。

 そもそも再発を防止することが最重要だが、米側が厳格な綱紀粛正を図っているとは言えない。根本的な問題解決はこれからだ。

 (明真南斗)