古謝景春南城市長のセクハラ疑惑などを受け、南城市議会のハラスメントに関する特別委員会(安谷屋正委員長)は22日、「市ハラスメント防止条例」の審議を始める。8月上旬にも臨時議会を開き、条例制定を目指す。市長ら特別職もハラスメント禁止の対象とし、被害申告があれば第三者委員会を設置できるようにすることが柱。制定されれば、ハラスメントに関する条例は県内で初めてとなる。
安谷屋委員長と銘苅哲次副委員長がまとめた素案をたたき台に議論を進める予定だ。
素案では、「職場におけるハラスメントは、重大な人権侵害行為」と位置づけ、明確に禁止する。これまでの「市職員ハラスメント防止等規程」では対象外だった市長ら特別職と市議による被害も対象にする。
ハラスメントの申し出があった場合に外部の専門機関に人選を依頼して第三者委を設置することや、外部相談窓口の設置も盛り込む方向だ。相談を申し出たことを理由にした不利益な取り扱いも禁止する。
一連の疑惑では、市長車運転手の女性が「古謝市長からセクハラを受けた」と申し出た際、市は第三者による調査をしないまま、約半月後に女性の業務委託契約を解除した対応が問題になっていた。素案では、派遣労働や業務委託契約で働く人に対するハラスメントを禁止しているが、第三者委設置の対象には含んでいないという。22日から始まる特別委の議論では、派遣労働や業務委託契約で働く人が被害にあった場合の対応・救済をどのように保障していくのかが課題となる。
地方自治研究機構のまとめでは、ハラスメントに関する条例は6月24日時点で全国56自治体で制定されている。セクハラ問題で市長が辞職した東京都狛江市で2018年に制定されたのが最初で、首長などの特別職によるハラスメントを対象に含めた条例があるのは11市町。他の自治体は、議員によるハラスメントを対象にしたものが多い。
(南彰)