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自衛隊、英軍も防護へ 3カ国目、進む準同盟化 防衛相会談、年内に国際機関


自衛隊、英軍も防護へ 3カ国目、進む準同盟化 防衛相会談、年内に国際機関 会談前に握手する木原防衛相(右)と英国のヒーリー国防相 =23日、ロンドン
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 【ファンボロー共同=市川貴則】木原稔防衛相は23日(日本時間同)、英国のヒーリー国防相とロンドンで会談し、自衛隊が他国の艦艇や航空機を守る「武器等防護」を英軍に適用すると確認した。日本が安全保障関連法に基づく武器等防護を実施するのは米国、オーストラリアに続き3カ国目。英国との「準同盟国化」を進め、安保協力を強化する狙いがある。
 イタリアのクロセット国防相を交えた会談では、3カ国で次期戦闘機の共同開発を推進し、開発管理を担う国際機関「GIGO(ジャイゴ)」を2024年中に設立する方針で一致。35年に予定する初号機配備へ引き続き連携すると確認した。
 24日には英南部で開催中の世界最大級の航空見本市、ファンボロー国際航空ショーを視察し、次期戦闘機のブースであいさつ。「わが国の航空・宇宙関連企業を集結し、オールジャパン体制で開発への参画を力強く推進する」とPRした。
 日本は英国と部隊の相互往来を容易にする「円滑化協定(RAA)」を結ぶなど、準同盟国と位置付けるオーストラリアと同様の防衛協力を進めている。木原氏はヒーリー氏との会談で、英国が25年に空母打撃群の派遣を計画し、インド太平洋地域への関与を強化していると歓迎。さらなる協力推進で一致した。
 次期戦闘機に関しては、英国の労働党政権発足に伴い、英メディアが防衛政策見直しの対象になる可能性を報じた。木原氏は会談で「共同開発を共に成功へと導きたい」と呼びかけ、ヒーリー氏から見直しプロセスの説明を受けた。木原氏は会談後「スケジュールの達成に強く関与していくことで一致した。ご懸念のようなことはなかった」と記者団に強調した。
 木原氏はクロセット氏とも個別に会談し、イタリア軍が夏に艦隊と航空機を日本に派遣する予定を巡り、協力重視の表れだとして謝意を伝えた。

 武器等防護 自衛隊が弾薬や艦艇、航空機などを守る任務。合理的な範囲で武器使用が認められている。2016年施行の安全保障関連法に含まれる改正自衛隊法で、従来の自衛隊自身から米軍などの他国軍に対象を拡大。自衛隊と連携して共同訓練など「わが国の防衛に資する活動」に従事している場合、防護できるとした。主な対象は米軍で、弾道ミサイルの警戒に当たる艦艇や、共同訓練中の艦艇・航空機を防護。21年からオーストラリア軍も対象とし、共同訓練中に実施した。