有料

労働者処遇改善へ一歩 中小支援、政府検討を 最低賃金 最大上げ幅


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 政府の審議会が最低賃金の改定目安として過去最大の上げ幅を提示した。物価高や春闘で大幅な賃上げが相次いだことを重視した結果で、労働者の処遇改善の一歩となる。ただ人件費上昇に耐えられない中小零細企業が出てくるとみられるため、政府は支援策を検討すべきだ。 (1面に関連)
 賃金は上昇傾向にあるものの、物価変動を考慮した実質賃金で見れば、前年比マイナスが2年以上続いている。全労働者に適用される最低賃金の引き上げは、底上げのため欠かせない状況と言える。
 一方、企業の経営状況によって人件費の支払い能力は異なる。連合の最終集計では、今春闘の平均賃上げ率は5・1%と好調だったが、中小零細企業を対象とする政府の集計によると、2・3%と落差がある。業績が厳しい中、人材をつなぎ留めるため賃上げする「防衛的賃上げ」も散見される。中小零細企業が最低賃金を上回る時給を支払えるよう生産性を高めるといった支援が必要だ。
 最低賃金を巡る議論の舞台は、都道府県単位の地方審議会に移る。金額が高い地域への人材流出を懸念する知事は多く、昨年は目安額からの増額を選択した地方審議会が過半数に及んだ。今年も同様の展開があり得るが、地元企業の賃上げ余力にも十分配慮した議論が期待される。