(墜落機の操縦席で表示された)金属片の発生を知らせる警告灯について乗組員は最初の2回目までは軽視していたが、これは比較的よくあることだ。乗組員は適切な着陸エリア(口永良部島)の上空を飛んだが、この判断は操縦士の適切な判断によるものだ。彼は、整備サポートが受けられる空港に着陸する必要があると考えていたとみられる。
4回目と5回目と続いた警告灯は「可能な限り速やかに着陸」を必要とする、より深刻なものと見なされただろう。しかし、その後に表示された金属片検出器の「故障」を示す警告は、(それ以前の)金属片の検出・燃焼警告もセンサー故障の一部と見なされた。このため、操縦士は危機感をなくし、空港にいる離陸機が離陸できるよう旋回した。この2分間にギアボックス(変速機)が故障したため、この旋回は致命的なものとなった。もし旋回せずに着陸できていれば、変速機は地上で故障していたか、故障しなかっただろう。
(報告書で示された)「破損したハードウェアに既存の重大な欠陥や製造上の不一致は確認されなかった」との所見は、変速機の全ての部品が仕様を満たしていたことを意味し、変速機の設計に問題があることを示唆する。このことは以前から知られており、新しい変速機が開発中であるが、悲しいことにこの乗組員には遅すぎた。
オスプレイのVSLED(振動)モニタリングシステムは、実際に初期故障を検知したが、このシステムはリアルタイムに分析を行わず、操縦席にメッセージを送っていない。これらの兆候をクルーが知っていれば、ミッションを中止するのに十分だっただろう。人工知能が発達した今日、このようなシステムを構築するのはささいなことである。 (談)