沖縄関係予算の確保に向けた国庫要請について、県町村会(会長・當眞淳宜野座村長)は県との連名でなく、単独で要請を行うことを決めた。県市長会(会長・桑江朝千夫沖縄市長)も昨年から単独要請に切り替えており、県と市部、町村部がそれぞれ別に要請を行う形となる。2021年度から始まった共同の要請は3年で幕を閉じることになった。
21年度から始まった県と市長会、町村会の3者連名による要請は、沖縄関係予算の減額傾向が続く中、沖縄が一丸となって求めている内容だと強調する狙いがあった。
一方、22年度には早くも切り崩しの動きが生じた。国は22年度末に閣議決定した予算案で、3者が連名で求めた一括交付金の増額要請に対しては減額で応じた。代わりに市長会と町村会の保守系首長11人が共同で要請した、県を通さず国から直接民間や市町村に交付できる沖縄振興特定事業推進費の増額要求に対しては、同年の概算要求時よりも増やした。
政府の予算案は、各省庁がまとめた概算要求を基に財務省と各省庁が折衝して決める。概算要求時より絞り込まれることが通例で、増額は異例とも言え、翌年の予算要請で市長会が連名から離れる布石となった。
町村会の當眞会長は「市長会が抜けた形の要請書は、一体感のなさを露呈している」と強調。「市長会が連名から外れるなら町村会も単独で要請した方がいい。政治的な意図は全くない」と説明。今月下旬にも要請する方針を明らかにした。国民健康保険に対する財政支援の要請などについては、引き続き県と共に要請する考えを示した。
一方で知事周辺の一人は「県と市町村が束となり、必要な予算を求めることに意味があった」と指摘する。ソフト事業の一括交付金については、県と市町村が予算配分を話し合いで決める枠組みがあり「県内で折り合いを付けることはできている」と指摘した上で、地元の調整機能を軽視し、政治色が増す沖縄予算の現状に「政治や選挙と絡みすぎている」と強い懸念を示した。
県の担当者は、連名要請がなくなったことに「各団体の思いがある」と理解を示しつつ、「県と市町村の共通の思いを形にできる」と意義を語り、来年度以降も連名での要請を呼び掛ける考えを示した。
(知念征尚、石井恵理菜、武井悠)