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臨時情報対応 対策に反映 想定見直し時期に影響も 南海トラフ


臨時情報対応 対策に反映 想定見直し時期に影響も 南海トラフ 宮崎市の公園内に整備されている津波避難施設=11日午前
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 南海トラフ巨大地震の被害想定と防災対策の見直しを進める政府の作業部会が、今回発表し継続中の臨時情報(巨大地震注意)への自治体や住民、企業の対応状況を確認し、対策に反映させる見通しであることが11日、分かった。主査の福和伸夫名古屋大名誉教授は取材に「初の臨時情報に社会がどう対応したか、整理が必要だ」と指摘し、議題にする考えを示した。年内を目指す取りまとめ時期が年明け以降にずれ込む可能性がある。

 政府は2012年、南海トラフ地震で最大32万3千人が死亡するとの被害想定を公表。死者数のおおむね8割減を掲げた基本計画の策定から10年が経過したことを踏まえ、政府は昨年、作業部会を設置して見直しに着手した。

 建物の耐震化や津波避難施設の整備といった、過去10年の防災対策の進展を反映して新たな想定を作成。政府はこれを踏まえて基本計画を改定し、新たな減災目標を盛り込む。

 福和氏は、臨時情報に関する議論について、月1回ペースで開く作業部会の会合を念頭に「(新たに)1回分できるかどうかを含め、今後検討する」と述べた。臨時情報発表から1週間で明らかになった課題や教訓を踏まえ、後発地震の発生が懸念される場合に取るべき対応を示した国の指針を見直す必要性にも言及した。

 作業部会は元日に発生した能登半島地震を受けて約5カ月間中断したが5月に再開し、議論は終盤に差しかかっている。

 能登半島地震に関しては別の有識者会議で検証を進めており、作業部会はその結果も取りまとめに反映させる。