米軍那覇港湾施設(那覇軍港)の浦添移設に向け、沖縄防衛局によるボーリング(掘削)調査が23日午前、始まった。那覇軍港の移設先の決定から約30年を経て、浦添西海岸の海に軍港移設のための工作物が打ち込まれた。防衛局は来年11月まで、建設予定地の52カ所でボーリング調査、92カ所でボーリング調査を補完するためのコーン貫入調査を実施する。
予定海域周辺には23日午前10時半ごろ、調査に使う大型の自己昇降式台船(SEP)が入った。台船のそばでは別の作業船が、地盤の硬さなどを調べるコーン貫入試験を実施した。午前11時半ごろには、最初に現れた台船とは別のクレーン船から、海中に鋼管やぐらが投下された。
ボーリング調査の実施には、県に対する岩礁破砕の申請と、那覇港管理組合に対する占有許可申請の二つの行政手続きが必要とされており、県と組合は共に21日までに申請を了承した。
事業は、浦添市宮城地先の公有水面に軍港の代替施設約49ヘクタールを埋め立て、約3.9キロと約500メートルの防波堤2カ所を整備する計画。
1995年の日米合同委員会で那覇港の移設先が、浦添ふ頭地区に決定した。防衛省が2022年に提案した、民港北側に「T字型」の軍港代替施設を設置する案に県と那覇・浦添両市が合意し、作業が加速した。
(藤村謙吾)