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那覇軍港の「跡地利用計画」を更新 27年度の策定目指し、市が地主に意向調査 沖縄


那覇軍港の「跡地利用計画」を更新 27年度の策定目指し、市が地主に意向調査 沖縄 跡地利用計画の再整備が予定されている米軍那覇港湾施設(那覇軍港)=2020年8月(小型無人機で撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 嘉陽 拓也

 米軍那覇港湾施設(那覇軍港、約56ヘクタール)を抱える那覇市が、2027年度の策定を目指して跡地利用計画を再整備することが25日、分かった。

 1974年に日米両政府が移設を条件に返還合意した後、市は90年代に計画を策定したが時代の変化に合わせて更新する。26年度内に策定委員会を設置する。軍港の浦添市移設が進む中、跡地利用の柱を早期に固め、返還工程の効率化や国と折衝しやすい環境整備を加速させる。

 策定委は市、県、国、那覇港管理組合、那覇軍用地等地主会、有識者で構成する予定。設置に先立ち25年度に地主会を対象にした意向調査を実施する。那覇市によると意向調査は十数年ぶり。相続や売買で変化した地主の意見や状況を把握する。

 跡地は産業利用が期待されているため、市は23年度から進出可能産業調査を進めている。集めたデータを基に地主会が独自で描く跡地利用構想と擦り合わせていくという。

 市と地主会は96年にリゾートやウオーターフロント開発などを検討する跡地利用計画の基本構想を策定したが、その後、施設の固定資産税評価額を巡って意見が対立。合意形成や協議の場が減少。23年度には途絶える形となっていた。

 その間に浦添市移設に向けた動きが進んだほか、米軍基地返還跡地の一体的開発を目指す「GW(ゲートウェイ)2050」構想の推進協議会が発足。状況の変化を受けて市と地主会は今年7月、意見交換会を再開することを決めた。

 跡地利用手続きが頭越しに進むことを懸念していた地主会の宮里進会長は「跡地利用は最重要事項。市と足並みをそろえ、取り組んでいきたい」と話した。知念覚市長は「地主会と情報共有しながら、風通しの良い関係で跡地利用を進めていきたい」と述べた。

(嘉陽拓也)