27日投開票の自民党総裁選に向け、共同通信が15日までに全都道府県連幹事長を対象に実施したアンケートで、派閥裏金事件を受けて6月に成立した改正政治資金規正法を、約4割に当たる19人が「十分ではない」と回答した。「十分だ」は7人にとどまった。21人は取材拒否などだった。
総裁選候補者の一部は、10年後の領収書公開を検討するとした政策活動費の廃止などを主張。規正法の見直しを不十分とする地方組織の意見は論戦を後押しする可能性がある。改正規正法の内容を「十分ではない」とした理由は「国民が納得していない」「民意と大きく乖離(かいり)している」などだった。改正後も温存された政活費に関し、付則で10年後に領収書公開を検討することとなった点への不満が特に強く「遅すぎる」「少なくとも任期中に公開する必要がある」などの意見が相次いだ。総裁選で一部候補は公開の前倒しを提唱している。
候補らは他に裏金の国庫返納なども主張。一方、多くが裏金事件の再調査や処分見直しには否定的だ。裏金事件に関するこうした発言について、投票先を選ぶ際に17人が「考慮する」と答えた。規正法改正で「金がかかる政治」が「改まると思う」としたのは6人、「改まるとは思わない」は18人。政治活動には一定の経費がかかり、全てを公費で賄うのは難しいとの声があった。
裏金受領議員の多くが国会の政治倫理審査会に出席していない。こうした対応を13人が「妥当でない」と回答。「妥当だ」の6人を大きく上回った。「積極的に出て説明すべきだ」「こういう対応が国民の不信を買う」などの意見が出た。
アンケートは8月末~9月上旬に実施。主に対面で見解を聞き取った。取材拒否の理由は「党員・党友の投票行動に影響する」などだった。