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「累積的な影響」を危惧 那覇軍港移設の環境アセス 国交相、配慮書に意見 生態系など6項目懸念 沖縄


「累積的な影響」を危惧 那覇軍港移設の環境アセス 国交相、配慮書に意見 生態系など6項目懸念 沖縄 那覇軍港の代替施設や関連の埋め立て事業が行われる予定の海域周辺。右奥はサンエーパルコシティ=7月10日、浦添市西洲(小型無人機で撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 国交省は24日、沖縄防衛局が7月に同省に提出した、那覇軍港の浦添市移設に向けた環境影響評価(アセスメント)の計画段階環境配慮書に対して大臣意見を発出した。

 工事による騒音の発生や生態系への影響など6項目の懸念点を示し、周辺では他事業による埋め立てなども計画されていることから「累積的な影響」への危惧も示した。「環境影響の重大性の程度」を整理し、事業計画に反映させることや、影響を回避または十分に低減できない場合は事業計画を見直すよう求めた。

 大臣意見の発出は環境影響評価法に基づく手続きで、国交省は沖縄防衛局から配慮書を7月10日に受けた後、同17日に環境相に意見を求めた。環境相は8月30日に意見書を発出。国交省は環境相の意見をなぞる形で、大臣意見を発出した。

 意見書では水環境への影響について、調査を実施して詳細な潮流や水質などを把握するよう求めた。

 動植物および生態系に対する影響については、工事の想定区域や周辺に「高被度のサンゴ群集」や「環境省レッドリスト2020」に絶滅危惧類として掲載されている海藻類や魚類、鳥類、は虫類、水生貝類などが生育・生息している可能性があると指摘し、適切な環境保全措置の検討などを求めた。

 隣接する自然海岸カーミージー周辺は地域住民の憩いの場として活用されており、活動への影響についても調査をし、地元関係者との調整を十分に行うよう示した。

 沖縄防衛局によると、7月から8月にかけて公告縦覧した配慮書について、自治体と一般市民から合計570件の意見が寄せられた。環境アセスに配慮書が加わる前のため単純な比較はできないが、2007年に沖縄防衛局が米軍普天間飛行場代替施設の環境影響評価で方法書を公表した際は487通の住民意見書が寄せられた。

(嘉数陽、沖田有吾)