衆議院総選挙は、国政与党の自民・公明が追加公認を含んでも単純過半数に達しない惨敗を喫した。大幅に議席を増やした立民、国民の訴えは「裏金問題」に集中した。2009年の政権交代選挙と異なり、明瞭な政策対決の結果ではなく、敵失による風が生み出した結果である。風がやんだ先はどうするのか。
沖縄選挙区では、「オール沖縄」の看板と構造が一定機能したため、1区で共産が唯一の選挙区議席、2区で社民が唯一の議席を獲得した。しかし、自公への逆風の中、3、4区で勝てなかったことが、県議選で表れた組織的衰退が続いていることを示す。復帰後最低の投票率50%割れの結果は、政治への期待が希薄になった危機的状況であることも指摘しておく。
オール沖縄の掲げる辺野古新基地建設は、法廷闘争では止められない。この選挙結果を契機に、辺野古の改めての全国争点化を図るべきである。国民の関心は経済であり、辺野古がどれほどの無駄金遣いかを改めて争点化すべきだ。
加えて、南西諸島軍事力強化反対を、組織として取り上げない、という「オール沖縄」の決定が重大争点を喪失させた。先島を含む4区で敗れた、南西諸島軍事力強化に明瞭に反対した候補者2人の票は、合計すれば4区の1位であり、宮古、石垣、与那国の合計票も、勝った自民候補に肉薄している。首長選・地方議会選では表出できない地元民意があるのだ。1区・下地幹郎氏の主張した「徹底した専守防衛の軍事力強化を行い、しかし、敵基地攻撃能力は絶対に置かせない」は、オール沖縄、県内保守の双方が真摯(しんし)に検討する価値があるのではないか。
(政治学)