米海兵隊幹部が沖縄駐留に家族を同行させないよう提言していることから、いかに米軍が有事になれば沖縄が危険だと捉えているかが分かる。ミサイルの集中攻撃を想定して司令部の地下化も唱えており、在沖米軍基地の脆弱(ぜいじゃく)さも明らかになっている。
論文が掲載されたのは、軍の公式見解を示した米軍の機関紙ではないが、権威ある軍事雑誌だ。実際の政策に反映されるかどうかは別としても、沖縄にいた海兵隊将校が論文を投稿したということは、在沖米軍のリアルな感覚を表していると考えられる。
軍人の論文であるため地域住民のことは出てこないが、住民の目線からすると米軍の家族がいられないほどの戦場となると考えられているのは衝撃的だ。一方で米軍が危機を過剰に評価している可能性にも注意が必要だ。台湾侵攻は中国にとってもリスクが高い。中国の軍事的な行動も問題は大きいが「数年以内に侵攻がある」などと表現するのは危機をあおりすぎだ。
陸上自衛隊の駐屯地が開設されている先島諸島について言及していた点も印象的だ。これまでも共同訓練などで米軍が入ってきてはいるが、先島の自衛隊基地を共同使用したいという意思を明確に示しているのは珍しい。
(国際政治学)