米海兵隊現役幹部が2023年12月に発表した論文で、中国が関与する有事となれば、攻撃対象となる沖縄から隊員の家族を米本国に撤収させることを提言していることが分かった。有事の際に先島地域を拠点の一つにすることにも言及し「米軍のインフラを整備することで、有事における継続的な展開が可能となる」とも記載している。沖縄国際大の野添文彬教授(国際政治学)は「沖縄がいかに危険だと米軍が考えているかがよく分かる」と指摘した。
当時、在沖の第3海兵遠征軍で計画部門のG5計画部長を務めたブライアン・カーグ中佐が、米海軍協会が発行する雑誌「プロシーディングス」に「第三海兵遠征軍を戦闘態勢に」と題する論文を投稿。「イラクやアフガニスタンに家族が同行したことはない」とし「同じように(沖縄など)第一列島線に家族が同行すべきではない」と提言した。
例として「海兵隊員の家族が多く住む嘉手納基地の家族住宅は、初期段階で格好の標的となる滑走路や司令部施設と不快なほど近い」と説明。家族を連れて駐屯している場合、有事には家族を避難させることに力が割かれ、戦闘態勢をとるのが遅れると指摘した。
先島地域を念頭に「重要な海域における前線施設も必要になるかもしれない」と記した。石垣駐屯地など陸上自衛隊の施設を共同使用する案に触れ「米軍の負担は軽くなるが、日本側に空間の制約をもたらす可能性もある」と指摘。その上で「場所を共有しつつ、そこに米軍のインフラを整備することで、有事における継続的な展開が可能となる」と強調した。
(明真南斗)