【キラリ大地で】ドイツ/新垣亜貴子さん(32)沖縄市出身


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新垣亜貴子さん(32)沖縄市出身

 ドイツへ音楽留学する沖縄出身者は年々増え、音大卒業後にドイツでの就職を希望する人も少なくないが、実際にドイツに残って仕事をしている人はわずかである。不況にあおられ、各都市にあった市営のオーケストラや音楽学校が少なくなり、就職はかなり厳しい状態になっていることも一つの要因かもしれない。そんな折、私立音楽学校での仕事ぶりを認められシュツットガルト市立音楽学校に就職が決まったのが沖縄市出身のクラリネット奏者・新垣亜貴子さん(32)である。

 県立芸術大学・大学院在籍中に、恩師横井操、村井祐二両氏や先輩たちからドイツの話を聞くうちに、ドイツ留学の夢が膨らみ、クラリネットのために素晴らしい作品を残したブラームスを演奏するに当たって、彼の故郷であるドイツで、彼と同じ景色を見、空気を吸ってみたかったと語る。
 新垣さんは、シュツットガルトとレオンベルクの音楽学校でクラリネット講師をする傍ら、シュツットガルト国立歌劇場のユンゲ・オペラを経て、シュツットガルト近郊での演奏活動、そしてカメラータ オイロペアナのオーケストラ団員として、ドイツ国内を駆け回っている。
 生徒たちの話をするときの彼女の目は輝き美しい。生徒や同僚の厚い信頼を受けバーデンービューテンベルク州の青少年管楽器セミナーの講師、そしてグレードテストの審査委員も任されているというのだから、彼女の実力がうかがえる。
 ドイツに来て7年。いまだにドイツのどんよりした天気は嫌だと言うが、流行に流されずそれぞれが素朴な時間の楽しみ方をしていることや、豊富な自然が気に入っているそうだ。
 「今ドイツで学べること、経験できることをいっぱい吸収して、実力をつけ、いつか沖縄で音楽仲間たちと一緒に演奏活動することが夢です」と彼女の目はさらに輝く。
(キシュカート外間久美子通信員)