【キラリ大地で】ロサンゼルス/山城秀男さん(60)大宜味村出身


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 大宜味村喜如嘉出身の“シロさん”こと山城秀男さん(60)がロサンゼルスへ来てから35年余がたつ。その間フレンチレストランのシェフや一流日本食レストランで調理師の修業を積んだ。アメリカの大地で彼が求めたのはレストラン・ビジネスに対する男の情熱とロマンであった。

 1986年に南パサデナに「レストラン・シロ」をオープン。最高級の食材を客に提供したいと情熱を傾けた。10年後には南カリフォルニアでのレストラン・トップランキング15位内に選ばれ、現在に至るまで入賞を逃したことはない。ナマズのディープ・フライは有名である。
 味へのこだわりはさらに発展し、新しいスタイルのレストランの開発につながった。2004年UCLAの学生や若者が集まる街ウエストウッドのソーテール通りに「オーリス・レストラン」をオープンした。この通りは本格的な日本食レストランも多く、「リトル・大阪」と呼ばれており、競争の激しい所。この地での成功は店主の一生を左右するといわれている。一品料理・居酒屋風タパス「オーリス」は人種を問わず人気上々。持ち家を売却した基金を元手にこの店のグッドウィル(商業権)を買い取ったほどの情熱。年に一度は外国へ旅行し、ベスト・フードを求めて研究を重ねる。そこで学んだ素材を取り入れ、世界一の味に仕上げて、客へ提供する。沖縄へも幾度となく帰った。
 シェフ兼オーナーとしてのシロさんは毎朝5時には起床、必ず自分で仕込みのためにロサンゼルス・ダウンタウンまで出掛ける。従業員には厳しく接し、お客に満足できる良い素材が提供できるように、あくまでもお客中心だ。お客が食べ残したらなぜかを徹底的に追求、改善を試みている。「塩」は沖縄産にこだわり使っている。
 「2つのレストランで十分。フランチャイズにはしたくない。35年の米国生活でビジネスを中心に外側だけを見つめての生活が続いた。今後は自分の内側にも目を向け、ルーツ探索をするつもり」と、シロさんは今後の自分を探し始めた。人間国宝、喜如嘉出身の平良敏子さんの息子と同期。那覇出身の妻の智恵子さんと2人の娘がいる。
(当銘貞夫通信員)