【島人の目】米大統領選と沖縄


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 米大統領候補者の演説で「沖縄」が出てくることはまずない。選挙運動中に米軍の外国基地うんぬんは候補者にとって票集めに結び付かないどころか逆効果を来す場合があり、インパクトとして弱いからだろう。沖縄の人々が関心を示すのはどの候補者が大統領に選出されたときに「沖縄の人々と米軍基地との関連性を最もよく理解してくれるか」ということに尽きると思う。

 共和党のマケイン、民主党のオバマ、クリントンの3候補者にとって沖縄との関連性の強い人は誰だろう。まずマケイン氏の考えは、イラクからの米軍撤退はすぐには実行に移さないと主張。クリントン氏は米軍のイラクからのすぐの撤退を強調しているが、日米関係より米中関係に重点を置く政策を採るようだ。オバマ氏はイラク侵攻前からの戦争反対主義で、「変革」を重点に大統領職務を遂行したいとしている。
 イラク戦だけが米軍の沖縄駐留の中心的課題ではないのは明白だ。北朝鮮や中国、そして中近東のテロ組織の問題などが潜在的プレゼンスだろう。しかし、今年は新しい米大統領が選出される重大な年である。米大統領の存在は世界的に強大で、イラク戦問題が沖縄に波及することは言うまでもない。沖縄の人々は「平和」を重んじ、米軍の撤退を要求している人が多い。大統領に手紙を書いて「平和を愛する沖縄の心」をアピールするような手段を取ることも必要ではないか。小さな手段だが意外と効力を発揮することを忘れてはなるまい。
 私は誰が大統領になっても米軍の沖縄からの即大量撤退は困難を伴うものだと理解しているが、徐々にでもその方向性を指示する大統領であってほしいと願ってやまない。
(当銘貞夫、ロサンゼルス通信員)