【島人の目】ワシントンD.C.


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 「ワシントンD.C.ってどういう意味?」。里帰りすると聞かれる質問。西海岸のワシントン州と同一に思っている人もいる。ワシントンD.C.は、東海岸のメリーランド州とバージニア州に挟まれていて四角形に近い形をしている。
 ワシントンD.C.のD.C.は英語の「District of Columbia」の略で、「コロンビア特別行政区」という意味。コロンビアとはアメリカ大陸を発見した、クリストファー・コロンブスの名前を取り、ワシントンは合衆国初代大統領ジョージ・ワシントンの名前から付けられた。ワシントンD.C.はどの50州にも属さない連邦直属の特別区として中央集権国家の中枢でもあり、今や世界の政治、経済の中心地としての役割を担う所となっている。
 ワシントンD.C.の町は「整備され、調和の取れた緑豊かな美しい都市」と言える。それもそのはず、20世紀になり経済的に余裕を持ったアメリカ国民が首都をより美しい街並みにしようという思いから美化運動の機運が高まり、有能な建築家たちによる画期的な都市開発計画のプロジェクトが生まれた。
 D.C.の顔と言えるその地域は「モール」と呼ばれ、約3キロの一直線上に議事堂、ワシントン記念塔やリンカーン記念館が並び、その周辺には、ホワイトハウス、国務省等の各省庁と13のスミソニアン博物館、美術館が建っている。
 3800本以上の桜並木のポトマック川畔からモール一帯は、緑一色に包まれ、市民の憩いの場として落ち着きのある快適な空間が広がる。周りには一つとして高層ビルは建っていない。
 ちなみに一人当たりの都市公園面積を数字で比較するとワシントンD.C.41平方メートル、東京6・4平方メートル、沖縄9・4平方メートルである。
 「コンクリートジャングル」と言われる那覇市。新都心は、商業地域と住宅地が混在している。さらに超高層マンションが建つと聞く。沖縄での都市開発は、あまりにも商業主義に偏向していないだろうか。
(鈴木多美子、ワシントンDC通信員)