【島人の目】普段通りの米家族


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 海外ホームステイ語学研修が盛んな昨今。沖縄の中高校生も全米各地でアメリカを体験する。バージニア州の首都リッチモンド郊外にある公立高校で日本語を勉強する生徒たちは静岡と群馬でホームステイを経験している。日米両カルチャーを反映し、受け入れ側の姿勢に顕著な違いがある。

 一般的に日本のホストファミリーは「至れり尽くせり」。米国の家族は「普段のまま」。友人の息子がニューヨーク州に留学。クリスマス休暇に会いに行ったが、雪深い山奥の孤立した一軒家にびっくり。さらに驚いたことは3人の子供のいる母子家庭で、母親は家事をせず週に3、4日は買ってきたピザが夕食に。友人の息子は自分でご飯を炊いていた。あまりにも普段のまま過ぎてホストファミリーになる資格なし、いやその前に主婦の資格なしと憤慨してしまったものだ。
 一方で、友人の娘は自分の家で片付けさえしなかった勉強一筋できた女の子。ホストファミリーの子供が家事を手伝うのを見て、数週間後に意を決して皿を洗った。するとお母さんが一言「やっとうちの子になったね」。ホームステイはその家のゲストではなく家族の一員になることなのだとその女の子は悟った次第。
 受け入れの多い西海岸での日本の若者の評判は残念ながら芳しくない。シアトルで留学生を世話している、沖縄系の2世は「今の日本の若者は手伝いはせず、部屋は散らかし放題、門限は守らない、ホストファミリーから苦情ばかり」と嘆いていた。だが、留学の斡旋(あっせん)をしている県出身の女性は「沖縄の子供たちは素直で順応性があり問題はあまりない」と、言っていた。
 さて、日本文化にどっぷりと漬かった米国人の生徒はすっかりホストファミリーの一員になり、ほとんどが日本大好きになって帰って来る。これこそがピュアな草の根外交だと思う。
(鈴木多美子、ワシントンDC通信員)