苦境救った県系の結束 ブラジル移民100年那覇で講演会


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 ブラジル日本人移民100周年記念式典(ブラジル日本移民100周年記念協会主催、日本時間22日未明開式)を直前に控えた21日、沖縄でも移民100周年にちなんだイベントが開かれた。那覇市の県立博物館・美術館では同日、ブラジル・アルゼンチンに移民が渡って100周年を記念する講演会(県・浦添市国際交流協会主催)が開かれ、移住先から帰って来た県関係者や、移民研究者が移民の暮らしや歴史をひも解いた。宜野湾市ではブラジルと沖縄を中継で結ぶイベントが開かれ、音楽交流などを通し、両国の距離と心を一気に縮めた。

 記念講演会では、沖縄ブラジル協会の新屋敷幸福副会長が、ブラジルや沖縄での生活体験談を披露。移民研究者の石川友紀琉球大学名誉教授が移民の歴史について講演した。
 新屋敷副会長は、ブラジル・サンパウロでの生活を振り返り「毎日の食事に苦労するほど生活は厳しかったが県出身者同士のチムグクル精神で助け合った」と県系人の結び付きの強さを強調。また、ブラジルの県系人の家庭では「トーカチ」や「カジマヤー」など長寿祝いがあり、沖縄の文化が根付いていることがスライド写真で紹介された。
 石川名誉教授は移民の歴史を再認識する必要性を語り、今後は日系人との交流促進が重要だとして「(移住者が)里帰りした時に、移民の歴史を振り返ることのできる場所を県内に造ることが必要」と県に移民資料館建設を求めた。
 戦後、30代でサンパウロに移住し、現在は沖縄に帰って来たという与那覇隆一さん(65)=浦添市=は「たくさんの日系人が日本に働きに来ている。交流を深め何らかの形で支援していきたい」と話した。

新屋敷幸福副会長