【アメリカ】琉舞の魅力、発信 舞踊家の知花さん


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 5月はアジア太平洋系アメリカ人月間。全米各地でアジア人による文化紹介のイベントが開催されている。特にミシガン州の「スプレンダー・オブ・ジ・イースト」(東洋の輝き)という祭典は全米一の規模だ。今年、この地で阿波連流本流、啓扇会の知花和子・ヴォルクマーさん(那覇市首里出身)とその門下生らが琉舞を披露。会場では多くの観衆が初めて目にする沖縄芸能の演目の一つ一つに拍手を送り、レセプションでは、地元新聞の取材を受けた。

 故・阿波連本啓家元から琉舞を学んだ知花さんは、渡米後も里帰りし芸を磨き1993年に師範免許を取得した。24年にわたりカリフォルニア、ジョージアなど各地で琉球舞踊の普及と指導に尽力。ニューヨーク市などの美術館での演舞をはじめ、日本大使館や大学の教育機関で沖縄伝統芸能の発展に貢献してきた。最近はオハイオ州のテレビ局にも出演した。
 沖縄の地でも首里城復元の行事で舞を披露。2003年に県から海外功労者として表彰された。知花さんは「沖縄の芸能を米国で紹介できることに誇りを持ちながら続けてきた」と話す。
 現在はオハイオ州で研究所を開き、県系人、米国人らを指導する。中には片道5時間かけて通う生徒もいる。10万人を動員する同州のアジアンフェスティバルでは、踊りのほか、文化や歴史などにも言及する沖縄ワークショップを企画した。
 生徒の一人、美代子・スミスさん(嘉手納出身)は「舞だけではなく、踊りの歴史、背景、意味を教えてくれる。米国で師範の先生から琉舞を学べて幸せに思う」と話す。知花さんの踊る姿に一目ぼれしたという夫のジョンさんは大学で国際ビジネスなどを教えているが全国的に協力する。
(鈴木多美子通信員)