【ブラジル】絶やすなウチナーグチ 予備校で沖縄講座


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 サンパウロ市ビラ・カロン区にある初等・中等学校および大学受験予備校「EXATUS」(高良ジュリオ校長)で、県系人子弟を対象に、沖縄の文化とウチナーグチ(沖縄方言)を学ぶ講座が開かれている。移民100周年の年を迎え、ブラジル生まれのウチナーンチュの中にアイデンティティーを求める気持ちが強くなったことと、高良校長のウチナーグチを絶やしたくないという気持ちが合致して3月から講座が始まった。

 恐らくブラジルでは初の試みではないかと注目されている。
 毎週水曜日の午後は「ハイサイ」「ハイタイ」というあいさつが飛び交う。受講生は15人で、10代から70代の2、3世が中心。
 ウチナーンチュの家庭では、名詞や動詞をポルトガル語にして話す日本語、つまりコロニア語に、ウチナーグチを交ぜて話すので、日本語とウチナーグチの区別が難しいところがあり、講義の中で、その質問がかなりあるという。
 講師は石垣市出身の宇座恵子さん。「私もウチナーグチは聞けるが話せないという程度なので、一緒に勉強している。沖縄の文化や習慣についても、いろいろな質問をし、活発に意見を述べるなど非常に関心が高い」と話す。
 ウチナーグチは前期(45時間)であいさつや基本的な語彙(ごい)を習得、8月からの後期は会話中心に進めるという。
 「てぃんさぐぬ花」「汗水節」「安里屋ユンタ」「涙そうそう(ウチナーグチ)」をCDに合わせて歌えるようになり、8月の100周年記念イベントに向けて、カチャーシーの練習もしている。
 沖縄料理は、ナーベラー、シブイ、豆腐など、特にサンパウロでは食材が豊富なので食卓によく上る。6月4日の授業では、全員が食べたことがないという「アーサの汁」を作り、試食した。
 「EXATUS」は、高良ジュリオ(64)=2世、高良アウグスト(60)=2世=兄弟が経営する学校で、1990年に大学受験予備校として設立。98年に中学・高校の部を、2004年に小学部を新設。現在、生徒数300人。そのうち日系人子弟が40%で、県系人子弟がその半数を占める。(与那嶺恵子通信員)