【島人の目】外国語は難しい


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 日本語を教えていると外国語を教授することと習得することの難しさを痛感する。リーディングのクラスで「立ち去る」という言葉が出てきて、その意味を「その場を離れて行くこと、leaving」だと説明した。習った言葉は、すぐ使う生徒の一人が、オフィスにいる私に「僕は、立ち去ります。さようなら」と言って出て行った。

 ある生徒に肉親の不幸を話したところ、「ごめんなさい」と言う。そうか。英語でお悔やみを言うときは、残念でしたの「I’m sorry.」なのだ。
 前世は、侍だったと自称し、毎日、日本語辞書で新しい単語を暗記していたプログラマーの友人は私とは、日本語オンリー。2人でインド料理のバイキングに行った際、私が、自ら使った皿を持っておかわりに行こうとすると「それは、非合法(illegal)です」と言った。(米国では、使用している食器を料理のところに持って行くのは衛生上禁止されている)けげんな顔をしている私に彼は、さらに一言、「ご法度です」。
 友人の息子が短期留学で米国にやって来た。ファストフード屋さんでハンバーガーを注文したところ、キャッシャーの若い女の子に「Anything else?」(他に何か)と聞かれて、「That’s all.(それだけ)」と言うべきなのをとっさに「フィニッシュ」(終わり)と答えてしまった。するとトレーには、注文したハンバーガーだけでなくフィッシュバーガーまでも…。
 語学を学ぶ上で、辞書の意味のみを頼りにしたり、直訳に頼ったりすると誤用を犯してしてしまうことがあることを肝に銘ずるべきだ。
(鈴木多美子、ワシントンDC通信員)