【ロサンゼルス】岩手県出身の稲継さん 小学生にエイサー指導


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リーダーの稲継さんを先頭にエイサーを発表する児童=米カリフォルニア州のホーリー・レディーマー小学校体育館

 ロサンゼルス・ダウンタウンから北方面に高速道路で約1時間、山間の閑静な町モントローズにカトリック系のホーリー・レディーマー小学校がある。生徒の大半は白人系で、中にはラテン系とアジア系の子供も見られる。

同小学校の美術教師・ナンシーさんが5年前から始めた夏休みアートキャンプは、毎年教育関係者や父母らから高い評価を受け、近年は予約するのも困難なほどの人気だ。このキャンプはさまざまな国の文化を伝え、体験することを目的とし、今年のテーマはアイリッシュ、アフリカ、日本だ。
 昨年に続き日本文化の講師を務めたのが岩手県盛岡市出身の稲継亮至さん(32)。前回は日本のお囃子(はやし)を和太鼓と篠笛(しのぶえ)を通して子供たちに紹介。今回は活発な子供たちが最も生き生きと学べるものとして自身の経験からエイサーを提案、採用された。彼と沖縄の出合いは2002年、友人と共に行った玉泉洞王国村での沖縄音楽修業。エイサー団真南風の団員らの下で沖縄文化、主に三線、エイサーを1カ月間体験した。
 当時東京でコンピューター・ミュージックに傾倒していた彼は、沖縄の文化と島の人々の温かさに触れ、人生を大きく変えたと言う。東京に戻り、浅草の日本太鼓道場などで和太鼓の勉強をした後、05年に渡米。セネガルから来米したマスタードラマー・パップ氏に師事。今回はサマーキャンプのためロサンゼルス方面で宮城流豊舞会の師匠として琉球舞踊を指導している新垣幸子さんの特訓を受けた。
 アートキャンプ発表会では、12個しかないパーランクーをナイジェリアのサカラ太鼓で補い、沖縄の生地が手に入りにくいため、アフリカの生地で代用。衣装はすべて稲継さんのガールフレンドの手作り。新垣さんの太鼓、夫の島袋盛市さんの三線と唄(うた)で、瞬く間に場内は陽気な沖縄ムードに。1番手は高学年が「サウエンブシ」。沖縄独特の振り付けを見事にこなし父母らを驚かせた。振り付けは新垣さんによるもの。そこに中学年が加わり「テンヨウブシ」を力強く踊り切る。高く上がった手足と掛け声は沖縄のエイサーそのものだ。最後は低学年と一緒に子供たちが会場いっぱいに輪をつくり父母を囲んだ形で「チュンジュンナガリ」を披露。会場が大きな拍手喝采(かっさい)に包まれるやいなや島袋さんと新垣さんのリードでカチャーシーが始まり、会場は一気にダンスホールへと早変わり。今年のサマーキャンプは、カチャーシーの音頭に乗って幕を閉じた。
 エイサーを終えた子供たちにインタビューすると「エイサー大好き!」「来年もまたやりたい!」と元気いっぱいの声が返ってきた。
(当銘貞夫通信員)