苦難の歴史に「光」 大城さんを特別表彰


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カンポグランデ市に住む「笠戸丸」移民の子孫を捜し当てた功績を評価され、表彰される大城忠助さん(左)=26日、ブラジル・カンポグランデ市

 【カンポグランデ26日移民100周年取材班】南マットグロッソ州カンポグランデ市で26日(日本時間27日)に行われた同市沖縄移民100周年記念式典で「笠戸丸」移民の子孫のほかにもう一人、特別に表彰された県人がいた。

特別表彰者として壇上に上がった南城市出身の大城忠助(ちゅうすけ)さん(81)は、実行委員会からの求めで、協力者と共に同州における笠戸丸移民の子孫の所在を調査した。その功績を評価され、表彰された。
 大城さんはブラジルに渡った1940年にカンポグランデ市に入り、以来68年間同市で暮らしている。昨年7月から始めた調査は困難の連続だった。「(笠戸丸移民の子孫には)2世が少なく、祖父母の名前も知らない3世がほとんどだった」。子孫かどうかを確認するため、何度も自宅に通ったこともあったという。ひと通りの調査は式典の1週間前に終了した。
 大城さんは受け取ったトロフィーを手に「自分にはもったいない」と謙遜(けんそん)しながらも「今やらないと、という使命感でやった」と語り、判明した以外の同州に足跡を残した県人の子孫を捜し続けるつもりだ。
 式典実行委員会の仲里新城アセリーノ委員長によると、今回の調査で46人の笠戸丸沖縄移民が同州で生活していたことが分かった。そのうち他州に移ったり、沖縄に帰国した人などを除いた31人の子孫が州内で生活していることが判明、この日表彰された。