沖縄と新たな関係を 新報移動編集局フォーラム


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沖縄との新たな関係づくりを提唱した琉球新報移動編集局フォーラムの登壇者=29日(日本時間30日)、アルゼンチン・ブエノスアイレスの在亜沖縄県人連合会館

 【ブエノスアイレス29日移民100周年取材班】琉球新報社は29日(日本時間30日)、アルゼンチン・ブエノスアイレス市の在亜沖縄県人連合会館で、アルゼンチン県人移民100周年を記念した「琉球新報移動編集局フォーラム―次の100年に向けて~県人社会の課題と展望」を開催した。

登壇者の県系人5人は、日本語教育への関心の低下や県人会活動の広がりのある継続性、日系高齢者介護などを課題に挙げ、世代交代が進む中、経済、教育、文化など多彩な分野で時代に即した新たな沖縄との関係づくりの必要性を訴えた。司会は玉城常邦琉球新報社社会部長。
 邦字紙ら・ぷらた報知社長の比嘉アントニオさんは「1970年代以降移民が完全に中断し1世は高齢化したが、県人社会は世代交代がうまくいっている」と指摘。「県人会でも2世のリーダーたちは1世の努力をよく理解している。県人会もますます活発化するだろう」と展望した。
 ビジネスコンサルタントの佐久川昌範さんは「アルゼンチン社会でウチナーンチュはすごく信頼されている。この信頼関係を基に県人は沖縄とアルゼンチンの経済連携に貢献できる」と提案した。
 社会厚生グループAUNAR代表で医師の照屋ホセさんは「1世の高齢者が老人ホームに入り、言葉や文化の違いに悩まされている」と報告し、介護問題を大きな課題に挙げた。
 日本語学校校長の安田くに子さんは、日本語学校の生徒数が1997年の130人から2008年は68人まで減ったとして、日本語の必要性を感じない親が増えたことなどを背景に挙げた。その上で「沖縄のことを2世、3世の親は子に伝えていないのではないか。1世や日本語学校は大切な伝達源」と訴えた。
 県費留学経験者で日本語教師のラモス安里フェルナンダさんは「沖縄留学での豊かな経験や、留学の意義や目的も次世代に伝えていく」と決意を表した。
 主催者を代表しあいさつした琉球新報社の比嘉辰博顧問は「アルゼンチンと沖縄双方のさらなる関係づくりの機運が高まっている」と活発な議論を呼び掛けた。
(新垣毅、宮城隆尋)