【島人の目】大いなる野望


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 ロサンゼルス郊外の一角イーグルロックという区域に120年の歴史を持つオキシデンタル大学がある。学生総数・1230人の由緒ある小規模私立文科系大学であるが、1979年から81年の2年間バラク・オバマ民主党大統領候補が在学していたと07年1月29日付ロサンゼルス・タイムズが伝えている。

 私がなぜ1年半前の記事にこだわったかというと理由がある。オバマさんは、06年10月発行の自分の著書「The Audacity of Hope」を大統領挑戦への足がかりにした。私は勝手に「大いなる野望」と訳しているが、日本で訳者はどのようなタイトルをつけたのだろう。同書はベスト・セラーとなり、若者の間で抜群の人気を博した。オバマさんはコロンビア大学とハーバード大学法律学部の学位を取得したと記しているがオキシデンタル大学のことには触れていない。ロサンゼルス・タイムズ記者のE―メールでの質問に対し、「当時私はバリーの愛称で2年間奨学資金を得て同大学で学んだ。校内はリベラルな雰囲気で教授はいろんな人種で活気に満ちあふれていた。同大学での最初の2年間が私を大きく成長に導いた」と返事をしたという。オキシデンタル・カレッジといえば私が卒業したグレンデール市立・カレッジが近いところにあり、同記事に親しみが増すゆえんである。
 これまでオバマ候補とロサンゼルスの関連性がメディアであまり取り上げられなかったが、この記事は彼がまだ無名に近かったから話題に上らなかっただけのこと。カリフォルニアは民主党の地盤である。これまでヒラリー・クリントンさんに肩入れしていたビヤライゴサ市長もオバマさんに協力を約束した。欧州で絶大な人気を勝ち取ったオバマさんだが、米国では少し失速気味だ。8月25日から始まった民主党大会で人気を挽回したものの、果たしてこの47歳の若い上院議員を米国の有権者は大統領に選出するだろうか。
(当銘貞夫、ロサンゼルス通信員)