【アメリカ】正しい日本食文化を すし職人養成校開設


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米国すし調理師学校設立について説明する上地勝也さん=ロサンゼルス・ダウンタウン

 北米でレストラン事業を展開する上地勝也さん(49)=那覇市出身=が9月末にカリフォルニア州ロサンゼルスに米国すし調理師学校(Sushi Institute of America)を開校する。

米国で高い人気を誇るレストラン「KATSUYA」のオーナーで、スターシェフとしても広く活躍が認知されている。上地さんが新たに展開する人材育成計画はロサンゼルス・タイムズ紙などのメディアも大きく報じるなど、米国の外食産業を率いるリーダー的存在として注目を集めている。
 上地さんはこのほどロサンゼルス・ダウンタウンで記者会見し設立の趣旨を説明。現在、米国にある約1万軒の和食店のうち、日本人の経営者は約2割で、中には食品衛生に関する知識に乏しく、利益を最優先させるために技術の伴わない調理人を雇う店舗が急増している現状なども指摘。「事業が拡大していくにつれ、すし職人が不足する時代が到来するという危機感を常に持っていた。急成長分野だからこそ、米国で日本食文化を正しく指導できる場を築くことが業界全体の成長へとつながっていく」と語った。
 学校はロサンゼルスの日本食総合卸業者・共同貿易(ロサンゼルス)の金井紀年社長と共同出資して法人化。上地さんは校長も兼任する。自身の経験に基づいた独自のカリキュラムとテキストを作成し、実習や歴史などの講義も豊富に取り入れる。講義はすべて英語。
 上地さんは沖縄や東京での修業を経て1984年に渡米し97年独立。伝統を踏まえ、米国人向けにアレンジした新しいコンセプト・メニューで頭角を現し、現在では6店舗に拡大。顧客には各業界の著名人も多く、全米レストラン専門誌でも毎年最高点を獲得している。来年1月には、現在、ロサンゼルス・ダウンタウンで建設が進んでいる大型プロジェクト・モールに7店舗目を出店する計画。東京でも共同出資の店舗を展開するなど、日米にまたがって実業家としても才覚を発揮している。(平安名純代ロサンゼルス通信員)