チムグクル胸に アルゼンチン移民フォーラム


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 【ブエノスアイレス30日移民100周年取材班】アルゼンチン沖縄県人移民100周年記念行事の一環で「移民100周年とウチナーンチュ」と題したフォーラム(琉球大移民研究センター・100周年実行委員会主催)が30日(日本時間31日)、アルゼンチン・ブエノスアイレス市の在亜沖縄県人連合会館で開かれた。

 フォーラムの中で金城宏幸琉球大准教授は「世界のウチナーンチュは多国籍、多言語、多文化的になったが、ウチナーンチュの心、チムグクルが何であるかを模索し続ける限り、ウチナーンチュであり続ける」と強調した。
 金城氏は「21世紀のウチナーンチュとグローバル・ネットワーク」と題して報告した。
 「国籍、文化などが多岐にわたるウチナーンチュが共通のものをつくり出すとしたら3つの課題がある」として(1)県民が移民、県人社会にもっと関心を持つ(2)2世、3世にどうつないでいくか(3)海外県人会同士の交流を深めるプログラムが必要―を挙げた。
 石川友紀琉球大名誉教授は「都市化が急速に進展している現在の沖縄社会では、伝統の良さが失われつつあるが、海外の沖縄移民社会ではかつての言語・風俗・習慣・生活様式など、古きよき時代の姿が今も残っている」と指摘した。「南米を訪れるたびに異郷の地で頑張る移民の方々にパワーをもらい、ウチナーンチュの温かいもてなしに感激し感謝している。移民1世から2世、3世などへ琉球の文化である言語、芸術、芸能、料理、空手など世代を通して継承してほしい」と訴えた。
 また、琉球大3年生の仲本いつ美さんと長曽我部佐知さんが「日本の若者から見た海外沖縄系コミュニティー」と題した報告の中で、「日本または沖縄と、海外日系社会コミュニティーの懸け橋になる役割を担いたい」などと意欲を語った。

移民100周年とウチナーンチュをテーマに活発に意見を交わしたフォーラム=30日(日本時間31日)、アルゼンチン・ブエノスアイレス市の在亜沖縄県人連合会館
フォーラムの活発な議論を熱心に聴く参加者=30日(日本時間31日)、アルゼンチン・ブエノスアイレス市の在亜沖縄県人連合会館