【島人の目】ウチナーンチュ的風貌


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 何年も前、DC近郊にあるダレス空港に日本からの客を迎えに行った夫が、全日空の制服を来てロビーを歩いて来る女性に気づいた。「沖縄の人ですか?」と聞いたところ、見ず知らずの男性からの突然の質問に、「どうして、分かるんですか?」。夫は「僕のかみさんもウチナーンチュだから」と答えたそうだ。当時沖縄会の会長をしていたその女性との出会いがワシントンDC沖縄会を知るきっかけとなった。

 話は遡(さかのぼ)るが、ニューヨーク州の北の町に住んでいた時、沖縄県から建築家が県費留学でやって来た。そこから車で5時間かかるニューヨーク市に観光目的で彼が一人飛行機で飛んで行った。ニューヨーク市の空港でキョロキョロしていたら、前から風を切って歩いている3人の男性に突然「お宅、ウチナーンチュじゃない?」と声を掛けられたそうだ。「これから県人会の会合があるが行かないか」と誘われ、断れないままついて行った。そこで温かい県人のもてなしに接し、戻ってから感謝感激の思いを聞かせてもらった。
 彼からニューヨーク県人会の会員名簿を見せてもらい、そのおかげで旧友に再会できた。もし他府県の人だと風貌(ふうぼう)だけで「お宅はどこどこ出身ですか」なんてまず聞かれないはずだ。濃い顔のウチナーンチュは結構得をしているかもしれない。
 余談だが、バージニア州在の沖縄女性が日本レストランに行った時の話。本土出身のウエートレスに「どこの県の出身ですか」と聞かれ、「沖縄」と答えた。すると「えー。ほんとに?沖縄の人じゃないみたい。とても上品よ」と言われたそうな。喜んでいいのか…。
(鈴木多美子、ワシントンDC通信員)