旧神戸移住センター再整備 日伯協会理事長ら寄付募る


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 100年前に神戸港を出港した移民船・笠戸丸乗船者の97%が利用した旧神戸移住センターが再整備工事に入っており、来年5月から在住南米日系人支援や芸術交流の拠点「海外日系人会館」(仮称)に生まれ変わり運用が始まる。それに向け、設備に必要な経費を集めようと、同会館協力委員会は国内の関係者や賛同者に広く寄付金を募っている。

 海外日系人会館協力委員会委員長の西村正日伯協会理事長と細江清司同協会事務局長は6日、那覇市天久の琉球新報本社を訪れ「ブラジル移民1世たちの心のふるさとを残したいとの思いを尊重し、次世代に引き継ぎたい。沖縄からの移民も多いので、賛同される方へご協力をお願いしたい」と呼び掛けた。これまでブラジル移民が多い広島、熊本、宮崎の3県と北海道で寄付を呼び掛けたという。
 旧神戸移住センターは、全国から集まった海外移住者が新天地に向かう直前、ポルトガル語やブラジルの農場事情などの研修を受け、その間寝泊まりした、いわば「最後の日本」。南米の日系団体から「移住史の生き証人であるセンターを残してほしい」との要望を受け、神戸市は兵庫県、国の協力を得て保存・再整備に着手した。
 新たに整備が進む「海外日系人会館」(仮称)は、移住者の功績を顕彰するほか、日本在住南米日系人の生活支援や子どもたちの教育を行う拠点施設。海外芸術の交流の場としても整備する。施設建設の経費は神戸市などが負担しているが、それ以外に設備費約2000万円が必要で、資金のめどが立っていないという。
 募金期間は来年3月まで。個人は1口5000円、法人は1口5万円。寄付の方法、問い合わせ先は078(371)9583、海外日系人会館(仮称)協力委員会。
(新垣毅)