山戸とイッパチ、表・裏の「顔」1枚に 山戸の孫、写真発見


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金城山戸(左)と「イッパチ」こと儀保蒲太=1920年前後、ブラジル・サンパウロ市内の山戸の自宅で撮影されたとみられる

 1908年の笠戸丸で移民第1号としてブラジルに渡り、日系移民初の歯科医となった金城山戸と、天才賭博師「イッパチ」と呼ばれ、多くの移住者を助け、名をはせた儀保蒲太が一緒に写った写真がこのほどブラジルで見つかった。

2人は南風原町津嘉山出身の幼なじみで、それぞれブラジル社会の表と裏の街道を歩いた人物として広く語り継がれている。
 これまで、それぞれの写真はあったが、2人が一緒に写った写真が見つかるのは初めて。
 写真は沖縄テレビ放送(OTV)の番組ディレクター・前原信一さんからの取材で写真探しを依頼された山戸の孫・藤原萌美さん(60)=サンパウロ在住=が遺品の中から見つけた。
 取材した前原さんによると、写真は1920年前後にイッパチがサンパウロの山戸の自宅を訪れた際に写したものとみられ、当時、山戸は歯科医になったばかりの30歳ごろ、イッパチは20代後半とみられる。
 2人の足跡を現地で徹底調査し著書「イッパチの夢を賭ける」にまとめた比嘉憲司さんは「これまで2人が一緒に写った写真を一生懸命探したが、見つけられなかった」と貴重な写真であることを強調した。
 OTVは25日午後3時から番組「ドキュメント発見伝 山戸とイッパチ―ブラジルに夢を馳(は)せた2人」で2人の足跡を紹介する。
(新垣毅)