【島人の目】悪の御三家


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 マフィアの陰に隠れてあまり知られていないが、実はイタリアには3大犯罪組織がある。どれも北イタリアとの経済格差が大きい南部に根拠があり、北から順にナポリのカモラ、本土最南端カラブリア州のンドランゲッタ、そしてシチリア島のマフィアである。

 いずれも残忍凶暴な集団で、イタリア国内では等しく嫌悪され恐れられているが、ごく最近はナポリのカモラが強い関心を呼んでいる。地元出身の作家サヴィアーノが組織の内幕を暴く作品を書き、これに腹を立てたカモラが彼の暗殺計画を練っている事実がマスコミにばれたのである。
 サヴィアーノは故郷を食い荒らすカモラへの激しい憎悪から、組織が近年はマフィアよりももっと危険な存在になっていると著作の中で弾劾している。しかしそれは少し言い過ぎであるように僕は感じる。あえて3大組織の悪の格付けをするなら、やはりマフィアが断トツの1位、続いてカモラ、3番目がンドランゲッタである。
 その理由はいろいろあるが、例えば今回の作家への暗殺計画を例に取るなら、マフィアは彼らの敵を排除する場合にカモラのようなヘマはやらかさないと思う。秘密裏に素早く相手を消してしまうはずである。マフィアの歴史がそれを如実に物語っている。
 今後どんな展開になるのかは知らないが、僕はサヴィアーノの無事を祈りつつ、彼が盾突いた相手がマフィアではなかったのはせめてもの救いだったのではないかと考えたりしている。
(仲宗根雅則、イタリア在住、TVディレクター)