【島人の目】ドイツの秋


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 私にとってドイツの秋の楽しみは何といってもフェーダーヴァイサーとツビーベルクーヘン。フェーダーヴァイサーとはブドウ発酵酒のことで、いわばワインになる前のワインである。味はジュースとワインの中間でとても飲みやすいが、アルコール度数は10度以上もある。地方によって呼び名は違うが、このフェーダーヴァイサーとツビーベルクーヘンの組み合わせは絶妙である。

 ツビーベルクーヘンを直訳するとタマネギケーキになるが、タマネギのキッシュと思っていただければいい。これもまた、地方によって、高さがあったり、平らだったりと形が違うのだが、この組み合わせだけはどこに行っても変わらないようだ。
 2週間の秋休みを利用して、フランケンワインの産地に旅行した時のことである。どの村を通ってもワインの甘酸っぱい香りが充満していた。その香りにつられて、数軒ワイン農家の門をくぐり、フェーダーヴァイサーを試飲し購入した。休暇用アパートには何本ものフェーダーヴァイサーが並び、帰路を待ちわびていた。出発を翌日に控えたある日、そのうちの何本かの瓶が破裂してしまった。発酵し続けているフェーダーヴァイサーを考えずに、欲張って瓶いっぱいに注いだのがあだとなった。これが、帰路の高速道路上で破裂していたらと考えるとぞっとする。
(キシュカート外間久美子、ドイツ通信員)