【ブラジル】移民象徴の三線里帰り 100年ぶりの音、新春披露


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三線を託す(左から)宮城セイシンさんと与儀昭雄ブラジル県人会長、仲村善正琉球民謡保存会伯国支部長=11月9日、ブラジル沖縄県人会本部

 第1回沖縄移民(1908年)とともにブラジルに渡って来た三線が里帰りする。日本移民100周年を象徴するものとして、国内外のいろいろなメディアで紹介されてきたこの三線は、読谷村出身の宮城伊八さんが携えてきたもので、父の形見として宮城セイシンさん(73)が大事に保管してきた。

 100周年記念に来伯した知名定男さん、西原篤一さん、具志恵さんらが弾き、100年の音色を響かせて感動を呼んだ三線。今度は琉球放送の恒例番組「新春民謡紅白歌合戦」で披露されることになった。
 12月11日に、「紅白歌合戦」にブラジル代表として参加する上原政雄さんと新里春江さんと共に、仲村善正琉球民謡保存会伯国支部長が沖縄へ向けて出発する。
 与儀昭雄ブラジル沖縄県人会長や大城文正前保存会支部長らの立ち会いの下、9日午後、県人会本部でセイシンさんが仲村支部長に三線を預けた。
 「三線のおかげで有名になった」と笑いながらも、父親から、他人に貸してはいけない、大事にしろ、と言われていたというセイシンさんは「二度と沖縄の地を踏むことがなかった父に代わっての里帰り。一緒に行きたかった」としばしの別れを惜しむかのように三線の入った箱をなでていた。
(与那嶺恵子通信員)